Craftmanship

職人紹介​

和傘職人​

広島県広島市在住
「雨雲屋」
吉原亮平さん

折り鶴に込められた平和への願いを「再生」
伝統工芸の振興にもつながる「傘鶴(さんかく)」​

Q.和傘職人は全国的に少なく、広島県内では吉原さんただ一人です。ここまでの歩みを教えてください。

23歳のとき、イタリアのベネチアを訪れたんです。日本語が話せる人に日本のことを尋ねられたのですが、何も答えられなくて恥ずかしかった。そこで、帰国して「日本の文化を知ろう」と伝統工芸を調べているうちに、和傘の存在を知りました。純粋に「きれいだな」「欲しいな」と思い、鳥取県の和傘伝承館で一年間、和傘の基本を学びました。その後、広島に戻り、傘職人さんに教えてもらったり、古い傘を分解したりしながら、模索しつつ技術を身につけていきました。作品を知ってもらうために個展を開催したり、イベントで展示してもらったりしながら、広島市内の工房にて、制作に励んでいます。

Q.「傘鶴」について教えてください。

「傘鶴」は、平和への思いを込めて捧げられた折り鶴入り和紙でつくる和傘のことです。「折り鶴に込められた平和への願いを、形を変えて世界に伝えたい」という思いから生まれたプロジェクトで、お声掛けいただき、私が制作を担当させてもらっています。
傘鶴は、傘の種類でいうと「蛇の目傘」。傘のデザインや内側の糸装飾が華やかなところが特徴です。
和紙に散りばめられている折り鶴は、広島市から譲り受け、細かく断裁されています。手漉き和紙職人がこの紙片を漉き込み、傘鶴用の和紙を作成しています。いろんな人の思いがこもった、唯一無二の傘といえるでしょう。

Q.G7広島サミット パートナーズ・プログラムでも傘鶴が使われました。

2023年5月に広島で開催されたG7広島サミット パートナーズ・プログラム2日目に、厳島神社にて日本の歴史や伝統文化が紹介されました。大鳥居を背景に、各国の首脳配偶者が傘鶴をさしてくださったのは、とても誇らしかったです。

Q.和傘の特徴、技術について教えてください。

ビニール傘と比べて、骨組みの数が圧倒的に多いのが、和傘の特徴。骨組みは自然素材の竹でできていますから、閉じたときにぴったり揃うように、一本の竹を44本に割って組んでいきます。内側の骨組みを複数の糸でつないでいるのは、補強のため、そして装飾の意味もあります。人と行き交うときには傘を半閉じにできるよう、2段階で閉じられる構造も、和傘の特徴といえるでしょう。これら一つ一つのしくみを理解していくと、昔の人は良く考えたなと感心します。
傘を制作するための「柄」や「竹の骨組み」、骨組みをつなぎ留める「ろくろ」など、材料の多くは岐阜県から取り寄せます。材料の調達は非常に重要で難しいのですが、今までの経験やご縁があって、安心して調達できています。
昔から和傘は複数の職人によって仕上げる分業制の傘屋が多く今もその流れは続いています。私は全工程を一人で作業するので難しい面も多々ありますがその反面、和紙の色やデザイン、糸の色など依頼者の希望やニーズにお応えしやすくもあります。一本の傘を、着手してから約3カ月かけて制作しています。

Q.どんな人が、どういうシーンで和傘を利用されていますか。

和傘は、ビニール傘と違って、「雨が当たったときの音が違う」と言っていただきます。また、「ライトアップに使いたい」「インテリアにしたい」と、傘の美しさにも評価をいただいております。骨組みが壊れたり、和紙が破れたりしたら、修理が可能で、長く使っていただけるのも特徴。お客様とは、長いお付き合いをさせてもらっています。
着物を着て出かけるときに日傘としてさすなど、特別なシーンで大切に使っていただいています。和紙の表面は特殊な油でコーティングするので、雨の日の使用も可能で、普段使いされる人もいます。

Q.今後は…。

和傘が人の目に触れる機会が増え、もっと広まるといいなと思っています。一人一人の好みに応じオリジナルで制作することで大切に使っていただけ、地球環境に優しい工芸品です。その魅力が広まることで、和傘職人や、材料を製造する職人不足が解消され、日本古来の美しい伝統工芸が継承されていくと思います。
多くの職人がつくる材料を生かすのは、私次第。そして、お客様と直接接するのも和傘職人の私だけです。完成した傘を手渡すときは、とても緊張しますが、好きな瞬間でもあります。喜んでいただくことが、次の和傘制作への意欲につながります。和傘を手にされた方達に感動して頂けるよう今後も精一杯努力していきたいです。

お問い合わせ

平和の願いを込めて作った和傘「傘鶴(さんかく)」に関するお問い合わせは、下記からお願いします。